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ポイント1:酵素は生きるために欠かせない栄養素
酵素とは、人間だけでなく全ての生物にとってなくてはならない栄養素です。
生き物全ての体内に酵素は存在しています。人間やペットなど動物だけでなく、野菜や草花などの植物にもです。
人間の体内では、アミノ酸を材料に、主に膵臓で酵素が作られます。タンパク質のひとつとも言われますが、正式にはタンパク質の殻に包まれている物質だそうです。
酵素は体内で作られる他、野菜など、酵素を含む食品を食べることによって体外からも取り入れて、活用しています。
人間が生きていくために必要な栄養素(タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、水など)。
これらを分解して体内に取り入れたり、体を作る材料として使われたり、動くためのエネルギーに変換されたり、栄養素が体の維持するための材料として、十分に働くために必要なのが酵素です。
酵素の働きは、家の建築に例えられることがよくあります。
栄養素が家を立てるための「 資材 」だとしたら、酵素はそれらを組み立てる「 大工さん 」です。
大工さんと一言で言っても、家を建てるためには他にも、ペンキを塗る人、セメントを流す人、外壁を作る人など色々な専門家がいますが、酵素も同じようにそれぞれ専門分野があり、それぞれの役割を持った酵素がたくさん存在します。
ポイント2:酵素の種類は大きく分けて3つ
酵素はまず、体内で作られる「 潜在酵素 」と、食物を食べることで摂り入れる「 食物酵素 」、この2つに分けることができます。
「 潜在酵素 」はさらに、2つに分類されます。
食べたものを消化するために使われる「 消化酵素 」と体の代謝に使われる「 代謝酵素 」です。
3つの酵素はお互い、バランスを取りながらそれぞれの役割を果たすための働きをします。
代謝酵素、消化酵素、食物酵素、この3つについて、それぞれの働きを、もう少し詳しく見ていきます。
代謝酵素は、健康維持・生命維持に欠かせない
「 代謝が悪くなるのは酵素不足が原因 」でも触れていますが、代謝とは、生命を維持するためのあらゆる機能です。
代謝では、たくさんの酵素が使われています。
- 食物から得た栄養素を体内でエネルギーに変えたり、貯蔵する
- 呼吸や心臓を動かしたり、脳を働かせたりする
- 解毒や免疫を高めたり、不要物や毒を排泄する
- 新しい細胞を作り、傷ついた細胞を修復したり、古い細胞を捨てる
- ホルモンや神経伝達物質を作ったり、バランスをとる
他にも、余分な脂肪を燃焼したり、余分な脂肪を溜めないためのホルモン( 痩せホルモンといわれるもの )の働きにも酵素が関わっています。
こういった、あらゆる生命維持活動に使われているのが酵素のなかでも「 代謝酵素 」と呼ばれるものです。
この代謝酵素が不足すると、健康や生命を維持する機能が低下するという事態が起きてしまいます。
病気や不調の原因となるのも、太る原因となるのも、この代謝酵素の不足にあるというのが、「 酵素 」が注目されている理由だと言えます。
消化酵素と食物酵素って何?
消化酵素は、食べた物の消化・分解をするための酵素
食べたものは体を作る栄養素や、エネルギーになるために小さな分子まで分解されます。
この時に使われるのが「 消化酵素 」です。分解の働きの数だけ、消化酵素の種類が存在します。
- 炭水化物は、炭水化物分解酵素によって、
- タンパク質は、タンパク質分解酵素によって、
- 脂肪は、脂肪分解酵素によって分解されます。
分解の種類を、もっと細かく見ていくと、『アミラーゼという炭水化物分解酵素は、デンプンを分解してマルトースにする』というように、必ず、酵素によって何に働くかが決まっています。
それ以外の栄養素の消化には一切関わらない、まるで職人気質な性質を持っているのが酵素の特徴です。
食物酵素は、食べ物に含まれる事前消化を行うための酵素
事前消化とは、胃で酵素による消化が始まる前に、ある程度の分解を食品自身がもつ酵素で行うことです。
実は、人間にも胃が2つあって、…というと、語弊があるかもしれませんが、胃の上の部分と、下の部分では異なる働きをしています。
実は、上の方の胃には消化液( 消化の為の酵素 )が分泌されていません。
胃が複数あると言うと、思い出すのが牛です。
牛には4つの胃がありますが、実は3番目までは消化液は分泌されていません。
牛が干し草などを食べる時、反芻( はんすう )といって、食べ物を胃と口で往復させながら少しずつ分解していきます。
牛の唾液は食べ物と混ざりながら、食べ物を滑らかにしますが唾液にも酵素は含まれていないそうです。
第3の胃までの分解は、食べ物に含まれる酵素と、微生物によって行われています。
このような働きが実は人間の上の方の胃にあって、そこでは食べ物に含まれる酵素による自己消化が行われています。
酵素を含む食品には、自分自身を分解する働きがあります。
黄色いバナナは、放置しておくと段々と黒くなり柔らかくなり、最後にはドロドロになります。
熟すとも言いますが、これが自己消化といって、酵素を持つものの、自分自身を分解する働きです。
この食物酵素が働くことによって、事前消化が行われ実際に胃で消化酵素が食品を分解するときには、消化酵素の量が少なくてすみ、負担が軽減されます。
しかし、酵素を含まない食品( 加工食品・加熱食など )はこの事前消化が行われないため、全ての消化を体内の消化酵素に頼ることになります。
これが、消化酵素の浪費に繋がります。
さらには、消化に時間や労力がかかるような食品の消化ではより多くの消化酵素が使われ、これが後々問題となる「酵素不足」を引き起こす原因となります。
消化酵素の浪費・無駄遣い = 代謝に必要な酵素が不足する原因
次では、消化酵素と代謝酵素の関係についてもう少し詳しく説明します。