最近、ダイエットサプリメントの成分で気になっているものがあります。それが「サラシア」。富士フィルムのダイエットサプリメントに含まれていてこの成分を知ったのですが、脂肪と糖質の吸収を穏やかにする阻害系サプリメントの成分なので酵素サプリメントとは相反するものです。しかし、気になったので体験中です。
目次
サラシアとは
サラシアとは、スリランカやインド、タイなどの東南アジアやブラジルなどの熱帯地域に分布するつる性の植物で、デチンムル科サラシア(サラキア)属植物の総称※ を指します。
※ ニシキギ目ニシキギ科サラシア属のコタラヒムブツも、サラシアの一種です。
世界で120種類以上が見つかっていますが、古くから根や皮の部分に健康効果があることが知られており、「奇跡の植物」として現地の人に大切にされてきました。
サラシアは、その効果がWHO(世界保健機関)に認められたことから、ダイエットや健康維持に関心のある人に今とても注目されている成分です。日本でもサラシアを含むお茶やサプリメントが、特定保健用食品に認定されています。
この植物はスリランカにのみ自生しています。
コタラヒムブツは、スリランカの公用語の一つであるシンハラ語で「神の恵み」という意味があります。
アーユルヴェーダで薬木として使用
アーユルヴェーダとは、5,000年以上の歴史を持つ、インド・スリランカが発祥の伝統医療のことを言います。
日本人にはあまり馴染みがないと思われがちですが、ヨガや瞑想、ハーブを用いた食事の改善など、実は以外と身近に接している医療の一つです。
西洋医学のように、病気になってから手術や薬物治療などでその病気の原因を取り除くのではなく、日常の生活にアーユルヴェーダの予防医療を取り入れることで、心身の健康を保つことを目的としています。
そのような中で、サラシアは糖尿病の予防のために、古くからアーユルヴェーダに用いられていたことがわかっています。
贅沢な食事を行う王族は、病気や肥満を防ぐためにサラシアの根や皮を煎じてお茶として飲んだり、幹をくりぬいたコップに水を張り、成分が溶け出した水を飲んで健康を維持していたと言われています。
サラシアのダイエット効果
サラシアが持つ効果が科学的に実証されたのは、ここ10数年だと言われています。
中でも、血糖値の上昇を抑制する働きは、WHO(世界保健機関)も認める効果です。食後の血糖値を急激に上げないことは、糖尿病予防だけではなく肥満の予防にも繋がります。
では、どうして血糖値を上げないことがダイエットによいのでしょうか。
サラシアがダイエットによい理由とその仕組み
糖を含む食物が体内に入ると、唾液に含まれるα-アミラーゼという消化酵素が働いて分解されます。
例えば、ご飯に含まれる糖は、糖がいくつも連なった“でんぷん”です。でんぷんは多糖類のため、吸収されやすいようにぶどう糖が2つ結合した麦芽糖(二糖類)に分解されますが、この時点ではまだ糖は体内に吸収されません。なぜなら、糖は単糖(他に結合がなく単体のみ)にならないと吸収されないからです。
麦芽糖が胃を通過して小腸に辿り着くと、今度はα―グルコシダーゼ(マルターゼ)という消化酵素によってブドウ糖に分解されます。
ブドウ糖は単糖なのでここでやっと吸収されるのですが、この時、サラシアに含まれているサラシノール、コタラノールという特有成分がα―グルコシダーゼの働きを阻害し、糖の吸収を抑制します。
糖が吸収されなければ、血糖値が急に上がることはありません。逆に、血糖値が急に上がるというのは、それだけ大量の糖が吸収されたことを示しています。
糖が多くなると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌され、糖を臓器に運んでエネルギーとして利用されます。このように、インスリンには糖をエネルギー代謝に促す作用があるのですが、その一方で余った糖を脂肪として蓄積してしまう働きも持っています。
つまり、血糖値の上昇を抑えることは、糖の吸収を抑えて脂肪の蓄積を防ぐことができるのです。
これと同様に、お菓子などによく使われる砂糖に多く含まれるショ糖(二糖類)も、消化酵素のスクラーゼによってブドウ糖と果糖に分解されますが、サラシアに含まれるマンギフェリンがスクラーゼを阻害することで、糖の吸収を抑える効果があります。
なお、サラシアの糖吸収阻害作用はブドウ糖には影響しないため、体に必要なブドウ糖は十分に確保することができます。
吸収されなかった糖は腸内環境を整える
サラシノールやコタラノール、マンギフェリンの働きによって小腸で分解、吸収されなかった糖はそのまま大腸へと進みますが、この時、糖は腸内の善玉菌のエサとなり腸内環境を整えるのに役立ちます。
また、α―グルコシダーゼによって糖が分解されると、腸にとってよい影響を与えるオリゴ糖も分解してブドウ糖にしてしまいますが、αーグルコシダーゼの働きが阻害されることで食物に含まれるオリゴ糖も腸に届きやすくなり、善玉菌のエサとなって腸の調子を整えることができます。
その整腸効果は、一般的に腸によいと言われているヨーグルトよりも、5~10倍も高いことが研究によって実証されています。(※富士フィルムの研究データによる。)
中性脂肪の代謝促進や合成阻害
さらに、マンギフェリンには脂肪の分解を促すPPAR-aという酵素の働きを活発にして、中性脂肪の分解や代謝を促したり、中性脂肪の合成酵素であるDGAT-2の働きを阻害する作用もあると言われています。
これにより、中性脂肪が減り、メタボリックシンドロームの予防や改善効果に期待ができます。
サラシアのダイエット以外の効果
免疫力の向上
サラシアの摂取によって腸内の善玉菌が増えると、それに比例して悪玉菌が減るため、腸内環境が整って免疫力が上がります。腸の調子がよいとなぜ免疫力が上がるのかと言うと、免疫細胞の生成が促されるからです。
免疫細胞とは、ウイルスや細菌などが体内へ侵入した時や、体内で異物が発生した時などに、それらを除去するために働く重要な役割を持つもので、その7割が腸で作られています。
そのため、便秘などが原因で腸内で悪玉菌が増えて腸の調子が悪くなると、免疫細胞の生成が減り、風邪やインフルエンザに罹りやすくなったり、アレルギーを発症しやすくなります。
美肌効果
肌と腸は一見するとあまり関係がない気がしますが、実はとても密接な繋がりがあります。
便秘になると、腸には便が溜まってしまうため、やがて腐敗して有害なガスを発生させます。そのガスは腸壁から吸収され、血液を通じて全身を巡りますが、その際細胞の働きを弱めてしまうため、肌の再生に必要なターンオーバーが正しく行われなくなり、肌トラブルを起こしてしまうのです。
このようなことから、肌の調子を整えるには、ヒアルロン酸などの有効成分を化粧品などから肌に直接補う方法だけではなく、腸内環境を整えることもとても大切になります。
肝機能の改善
腸内環境が悪くなるということは、すなわち善玉菌よりも悪玉菌の数が多いということになります。(※ 腸内には善玉菌、悪玉菌の他に日和見菌という菌が存在します。)
悪玉菌が増えると、食物のたんぱく質を分解してアンモニアや硫化水素などの有害物質を発生させます。これらは例え発生しても肝臓の働きによって無害化されますが、悪玉菌が多くなればなるほど肝臓の負担が大きくなるため、肝臓がどんどんと疲労してしまいます。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、ガンなどの病気になっても初期の場合はほとんど症状にでません。そのため、発見が遅れてしまうことがあります。こうならないためには、肝臓を普段からいたわり、余計に働かせすぎないようにすることが大切になります。
サラシアによる腸内環境の改善は、肝臓の機能を助けることにも繋がるため、健康な体を維持するのに役立ちます。
日和見菌はその名の通り、有利な方を伺ってそちらに加勢する性質があり、腸内で善玉菌が多ければ善玉菌有利に寄りますが、悪玉菌が増えるとそちらの方に偏っていきます。
健康な人の腸内は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌が2:1:7の状態と言われていますが、悪玉菌が増えるとこのバランスが崩れてしまいます。
アンチエイジング効果
サラシアには、カテキン、タンニンなどのポリフェノール類を始め、トリテルペン類や、マンギフェリンといった成分が含まれていますが、これらはすべて抗酸化作用のある成分となっています。
抗酸化作用とは、活性酸素を抑制する働きのことを指し、細胞の酸化を防ぐことで老化を予防する効果が期待できます。
サラシアの摂取方法
食事による糖の吸収を抑えるという効果を最大に生かすためには、食事の15~30分前に摂取するのがよいでしょう。
サラシアは粉末状にしたものをお茶として飲むか、サプリメントを摂るのが一般的ですが、よりサラシアの成分を吸収するならお茶の方が吸収されやすいためお勧めです。
なお、サラシアの一日の摂取量は240㎎が目安となっています。
次の場合は摂取に注意をして下さい
- 糖尿病の治療で薬を飲んでいる方
- 妊娠中、授乳中の方
- 貧血もしくは貧血気味の方
- 食欲がない方
- 体調不良の方
サラシアに含まれる成分は、糖の吸収を抑えるだけではなく、体に必要な成分の吸収も阻害する恐れがあります。上記に該当する方は自己判断で摂取せず、必ず主治医や薬剤師に相談するようにしましょう、
また、サラシアを摂取して、腹痛や下痢などが起こることがあります。体調の異変を感じたらすぐに摂取を止めるようにしましょう。