OPP

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読み方・表示名 OPP ・オルトフェニルフェノール
使用用途 防カビ剤・殺菌剤( 主に柑橘類の輸入の際に使用される。船で輸送されてくる輸入柑橘類の搬送中の腐敗とカビの発生を防ぐ )
使われている主な食品 輸入フルーツ( オレンジ・レモン・グレープフルーツ )
使われている主な製品
毒性 発がん性が認められている

身近な果物に潜む黒い歴史

もともとOPP( オルトフェニルフェノール )は日本では農薬として使用されていました。

  • 1955年1月 農林省に農薬として登録
  • 1969年2月 失効( 使用禁止になる )

使用禁止になったのは言うまでもなく、安全性が確保されないからです。

それが一転、現在私たちの身近には、このOPPが使用されたフルーツが出回っています。どういう背景があるのでしょうか。

1970年代、日本はアメリカに対して、自動車や電化製品の輸出で貿易を優位に進めていました。しかし、貿易不均衡を理由にアメリカ政府は農産物の輸入、特に柑橘類輸入を強く要請してきたのです。

1971年 日本政府は柑橘類輸入自由化に踏み切ります。

その後、ある事件がアメリカの新聞を賑わせました。見出しは 「 日本は太平洋をトムコリンズにした!! 」

1975年4月 農林省の試験場でアメリカから輸入された柑橘類から日本での使用が禁止されている、OPP(オルトフェニルフェノール)が検出されました。

報告を受けた厚生省は、港の倉庫で出荷を待つ輸入柑橘類の一部を海に捨てさせたのです。

この処置に怒ったアメリカの政府とメディアは、新聞にこう書き立てたのです。
※トムコリンズとは…ジン・レモン果汁・ソーダ・砂糖を材料にしたカクテル大量のレモンなどを海に捨てたことをもじってこういったのですね。

この話を知って、当時の日本政府はやるなぁ~と思ったのですが、それもつかの間。

アメリカの農務省の長官や大統領までもが来日して輸入柑橘類へのOPP使用の許可を迫り、ついに2年後、厚生省は1977年OPPを食品添加物に指定したのです。

国内では禁止されている農薬を、食品添加物という名目で使用可能にしました。

国内で必要のない長期輸送のために危険なOPPを使う農家などありません。つまり、OPPを使って消毒された果実の輸入を認めたということになります。

その後、なし崩し的に圧力をかけられ、たくさんの新たな食品添加物を認可させられてしまったのです。

そして、1992年 ガットウルグアイ・ラウンド合意に至ります。

これは、これまで輸入量に制限を設けていた乳製品・でんぷん等すべての農産物(米を除く)の関税化とそのほかの輸入品の関税率の引き下げることとなります。

ポストハーベスト農薬の基準

読んで字のごとく、農作物の収穫後に使用される農薬の総称です。

使用目的が、収穫後の食品の保存性を高めることという解釈で食品添加物に分類されました。

しかし、輸入を前提にした防カビ剤なので、使用量ではなく、残留量に基準を設けてあります。

農薬は本来、作物が成長途中で害虫や病気に負けない手助けをする目的で使用されますが、畑の上では、紫外線により少しずつ分解されていきます。

しかし、収穫後の農作物にスプレーしたり、溶かした液体につけたり…という使い方では、紫外線による分解は期待できません。

必然的に残留量が多くなってしまいます。

OPP自体の危険性は、動物実験によると、「 膀胱がん 」「 腎臓がん 」が発生したと報告があります。

かつて日本でも農薬としての使用が禁止されているくらいですから、残留していれば危険な物質だということは証明済みなわけです。

厚生省は、「 皮をむいて食べれば大丈夫だ 」といい、民間の検査機関は「 果実にまで染み込んでいる 」と言います。

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