目次
青汁とは
青汁とは、生の緑葉野菜を絞った汁のことを言います。
青汁は古くから健康によいことが知られていましたが、日本に広まる最初の切っ掛けとなったのは岡山県のある博士の存在があったと言われています。
戦前戦後の食料難の時代に、その博士が青い葉を食べていたところ体調がよくなったため、その葉を絞ってできた汁を青汁と名付けて販売するようになりました。
しかし、当時はケールというアブラナ科の野菜が主な原料であり、ケールは青臭さが強いことから、日本では一部の地域(九州地方)でのみ飲まれ、通信販売を主に流通していたと言われています。
それが1990年代に入ると、そのあまりのまずさから青汁はバラエティー番組などで罰ゲームとして使用されるようになり、興味本位で注目する人が増えてきました。
さらに、九州限定で放送されていた青汁メーカーのコマーシャルが全国放送されるようになると、「まずい!もう一杯!」と言うフレーズとともに認知度が急上昇しました。
通常、広告では商品にネガティヴなイメージが付く言葉は使いませんが、そのコマーシャルは正直な感想を発したことで視聴者に大きなインパクトを与えました。
しかもそれだけではなく、「そんなにまずいのに、それでも健康のために飲もうと思う青汁とは一体どんなものなの?」と、健康ブームの高まりとともに、青汁の健康効果にも関心が集まるようになっていきました。
このように、今や健康食品の代名詞的な存在とも言える青汁は、実は少し変わった過程を経て一般に普及したと言えます。
青汁の定義
今現在、青汁とはこういうものであるという定義は存在しません。
冒頭でも述べた通り、生の緑葉野菜を絞った汁はすべて青汁ということになります。
そのため、一口に青汁と言ってもメーカーによって原料が異なりますが、一般的には青汁と言えば「ケール」もしくは「大麦若葉」が含まれているイメージが強く、実際にこのどちらかが使われている商品がほとんどとなっています。
なぜ「青」汁?
青汁は実際には緑色なのですが、元々日本では緑色の葉野菜を「青菜」と呼ぶ習慣がありました。
初夏に若葉が芽吹く瑞々しい時期も「青々とした」などと表現しますよね。
もっとわかりやすく言うと、青信号は厳密には緑信号ですが、日本では青信号と呼ぶのが一般的となっています。
このようなことから、青汁は緑汁とはならず、青汁となったと言われています。
青汁の効果
現代人は慢性的な野菜不足に陥っていると言われています。
厚生労働省が発表した「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要(※)」によると、野菜摂取量(一日)の平均値の目標が350gなのに対し、実際は288gと60g以上も不足していることがわかっています。しかも、この調査結果は比較的野菜を多く摂取している60代も含んでのこと。
そのため、調査対象の中でも特に摂取量が低かった20~30代の若い世代は、この数値よりもさらに野菜が不足していることが考えられます。
とは言え、野菜不足を補うことは容易ではありません。
そもそも野菜は1種類を食べたらそれでよいというわけではなく、様々な種類を摂る必要がありますが、そうなるとコストの面で負担が大きくなってしまいます。
また、仕事などで忙しく、食事にゆっくりと時間をかけられない人もいます。
野菜が足りてないと言う自覚があっても、毎日の食事で目標値の野菜を摂れない事情というのは人それぞれにあるようです。
そのような時に、必要な栄養成分を補うことができる青汁は、野菜不足を解消できる一番簡単な方法なのです。
※参考資料 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf
野菜不足が引き起こすもの
野菜には、ビタミンやミネラル、それに第6の栄養素と言われる食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は胃で消化されずに腸まで届き、水分を吸って便をやわらかくしたり、便のかさを増やして腸壁を刺激し、腸のぜん動運動を活発にしてお通じを改善する効果があると言われています。
そのため、野菜が足りなくなると便秘になりやすくなると言われていますが、便秘は万病の元と言われ、そのまま放っておくと様々な弊害を引き起こします。
腸に溜まったままの便はやがて腐敗し、有害ガスを発生させますが、そのガスが腸壁を通じて血液へと流れ込むと、血液が汚れて流れが悪くなり、冷え症や肩こりなどを起こしやすくなります。
また、細胞に必要な栄養や酸素が届きにくくなるので、肌荒れの原因にもなります。
さらに、便を出すためにいきみすぎると、血圧が上昇して高血圧になります。
便秘と高血圧は結びつかないと思うかも知れませんが、脳梗塞や脳卒中と言った重篤な症状を引き起こす病気は、トイレで発生することが多いと言われています。
ターゲットは中高年から若い女性へ
青汁は、以前までは食が細くなり食事だけでは十分な栄養が摂れない中高年向けに、手軽に野菜に含まれる栄養が摂れるという触れ込みで販売されていましたが、今は中高年だけではなく若い世代でも青汁を摂取する方が増えています。
その理由は、便秘解消効果の他に、青汁に含まれるビタミンやミネラルには、肌の調子を整える美容効果が期待できるからです。
また、青汁はカロリーが低いため、ダイエットに活用している人も多くいます。
食物繊維は腸内環境を整えるだけではなく、血糖値の上昇を防ぐ働きもあるので、食べたものを脂肪として蓄えるのを防いでくれます。
現在では、このような流れを受け、青汁の美容利用を高めるために、プラセンタやヒアルロン酸と言った成分が配合がされたものが増えてきています。
青汁の原料となる主な野菜の特徴や作用
ケール
ケールは、キャベツやブロッコリーと同じアブラナ科の野菜で、緑黄色野菜の王様と称されるほど栄養価が高いことで知られています。
また、ケールには骨や歯の素となるカルシウムが、野菜の中で多く含まれています。
さらに、睡眠に関わるホルモンであるメラトニンが含まれていることから、眠りが浅い、上手く寝付けないなどの症状を改善する働きがあると言われています。
ただし、ケールには独特の苦味があるため生で食べるには難があり、青汁のまずさを作り出している正体がまさしくケールであると言えます。
大麦若葉
大麦若葉は、近年の飲みやすく改良された青汁に多く含まれていて、その名の通り大麦の若葉になります。
総合的な栄養価はケールに劣るものの、苦味が少なくさらに女性に欠かせない鉄分や葉酸と言った成分を含んでいるのが特徴です。
また、大麦若葉は体内で発生した活性酸素を除去する働きに優れたSOD酵素が多く含まれていることから、美容効果やアンチエイジング効果がより期待できると言われています。
明日葉
明日葉は、日本が原産のセリ科の多年草。
「今日、葉を摘んでも明日には生えてくる」と言われるほど生命力が強いことから、明日葉と名付けられ、20種類以上のビタミンやミネラルを含んでいます。
また、カルコンと呼ばれるフィトケミカルの一種が含まれているのですが、これは植物では明日葉にしか含まれず、強い抗酸化作用があると言われています。
桑の葉
桑の葉は蚕のえさとなる植物で、ビタミンEやカルシウム、GABAなどを含んでいます。
日本では蚕産業の衰退から桑の葉を見かける機会が減りましたが、近年はDNJ(1-デオキシノジリマイシン)と呼ばれる桑の葉特有の成分に、糖質の吸収を抑制する働きがあることがわかり、ダイエット効果が期待できるとして注目を集めています。
青汁の選び方
健康や美容、ダイエットのために青汁を摂取しようと思っても、商品が多すぎてどれを選べばよいか迷ってしまいますよね。
そこでここでは、青汁の選び方についてご紹介したいと思います。
目的にあったものを選ぶ
現在販売されている青汁の多くには、上記に記載したケール、大麦若葉、明日葉、桑の葉のどれかは必ず配合されており(4つ全て含まれているものも多い)、またこれ以外にもほうれん草、ゴーヤ、モロヘイヤ、抹茶、スピルリナなど、各メーカーによって特色を出すべく様々な成分が配合されています。
基本的にはどの青汁を選んでも、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれていますが、原料の含有量によって効果に違いが生じます。
例えば、ケールの含有量が多い青汁は栄養価が高く、青汁本来の効果が期待できると言えるでしょう。大麦若葉の含有量が多い青汁も栄養価は高く、さらに飲みやすいことから、初めての青汁として選ぶにはお勧めと言えるでしょう。明日葉が多く配合されている青汁の場合は、抗酸化力が高いため、主に美容面で青汁の効果を期待したい方によいと言われています。
製造過程や栽培方法を確認
青汁の原料は生のまま使用されていなければ、成分を十分に得ることができません。
そのため、非加熱処理によって製造されているものの方が、同じ原料を使っていても加熱処理を行っているものよりも栄養価は高くなります。
また、栽培において農薬をどれくらい使っているのか、化学肥料などを利用しているのかなどの情報がしっかりと開示されていて、できれば無農薬・有機栽培で作られている原料を使った青汁を選ぶ方が、より安全で安心に青汁を摂ることができます。
添加物はなるべく避ける
青汁の中には、飲みやすくするために甘味料や添加物を加えていることもあります。
味が苦手で青汁の摂取を長く続けられないよりも、多少甘味を足していても飲みやすくしている方が続けやすいというのであれば、甘味がプラスされていることが必ずしも悪いとは言えませんが、添加物の中には体を害する恐れのあるものもあるので、できればこれらが含まれていないものを選ぶのがよいでしょう。
味や価格も大切
いくら効果が高くても、味が苦手で長く続けられなければ意味がないため、飲んでみて自分の口に合うかどうかも大切なポイントとなります。
同様に、継続するには金銭的にも無理がないものが望ましいことから、効果と価格の兼ね合いに納得ができるものを選ぶのがよいです。
青汁の飲み方
青汁は主に次の4種類が販売されています。
- 粉末タイプ
- ジュースタイプ
- 冷凍タイプ
- 錠剤(サプリメント)タイプ
粉末タイプは、水分があれば溶かして飲むことができ、また水分の種類を変える(水、牛乳、豆乳など)ことで味を自分の好みに調整できるので、例え青汁そのものが飲みにくくても飲みやすくすることができます。
ジュースタイプは紙パックやペットボトルなどにすでに注入されているため、封を切るだけで青汁を飲むことができますが、甘味料などで味をあらかじめ調整しているものも多いので、ダイエット目的で飲む場合には成分表を確認するようにしましょう。
冷凍の青汁は添加物なしのものが多いため、青汁の味がダイレクトにします。青汁に慣れてから挑戦してみるのがよいかも知れません。
錠剤タイプについては、どうしても青汁が飲めないという人にお勧めです。
青汁を摂るタイミング
青汁は医薬品ではないので、飲むタイミングについては基本的には自由です。とは言え、せっかく摂るなら少しでも効果が上がるタイミングで摂りたいと思いますよね。
ダイエット目的で青汁を摂るなら、食事の20~30分前がお勧めです。このタイミングで青汁を摂ると、青汁に含まれている食物繊維が胃や腸で膨らむので、その後の食事の量を自然に減らすことができたり、食後の血糖値の上昇を抑えてくれます。
便秘解消が目的なら、夕食後がよいです。夜、寝ている間は腸による栄養の吸収が最も盛んになるため、夕食後に青汁を摂ることで食物繊維の吸収が促され、翌朝のお通じがよくなりやすいと言われています。
また、朝に青汁を飲むと胃腸の働きを活発にし、目覚めをよくする効果が期待できます。
青汁を摂取する際の注意
持病のある人は、青汁を摂取する前に必ず主治医に相談するようにしてください。
特に、血栓ができるのを防止するワルファリンを服用している方や、腎機能が低下している方が青汁を摂取すると、青汁に含まれる成分の働きで血液が固まりやすくなったり、腎臓に負担を掛けてしまうことがあります。
また、持病がない人でも、効果を高めるために青汁をたくさん飲む、と言った摂取は避けて下さい。
青汁の摂取量はメーカーにもよりますが、一日1~2杯が適正と言われています。
青汁に含まれる食物繊維は、適量であれば体にとってよい効果が得られますが、過剰摂取すると下痢や腹痛、便秘を引き起こすことがあります。
青汁はあくまでも健康食品
青汁は医薬品とは違い、健康食品のため、明確な効果や効能を謳うことはできません。そのため、青汁を飲めば必ず便秘が解消されるわけではありません。また、一日に必要な野菜を青汁だけで補うこともできません。
青汁はあくまでも、食事から摂る野菜では目標に届かない場合に、補助的な役割として摂るようにしましょう。