にんにく、好きですか?
ニオイが強いから、接客業をしている人は控えなくてはいけなかったり、何かと気は使う食品ですね。
管理人こぶたは人と会うような仕事ではないので、翌日のニオイを全く気にする必要がありません。なのでペペロンチーノを作る時には大量に入れます。辛めの鍋にも入れますし、肉料理にもたくさん使います。それほど好きな食材です。
焼き立てのガーリックトーストも良いですねー。
目次
スタミナ食材の代表的存在
古代ギリシャでは、にんにくはピラミッド建設に従事した労働者の疲労回復や滋養強壮に活用されていたと言われているそうです。
日本には奈良時代に中国から伝わったとされていますが、しばらくは薬用としての摂取が一般的でした。なぜなら、にんにくは匂いが強烈だからです。
淡泊な味を好んでいた当時の日本人には馴染みにくく、そのため食用に利用されることは少なかったと言われています。
それが、戦後に中華料理が普及したことで、食用での利用が一気に増えました。今では、料理には欠かせない食材として中華に留まらず、和食や洋食にも幅広く使われています。
にんにく臭の元となるアリシン
にんにくが、にんにく臭い所以は「アリシン」という成分にあります。
アリシンは、植物が害虫などから身を守るために備えている防御反応から生まれる成分です。
にんにくはそのまま置いておくと匂いがしませんが、包丁などで切ると途端に強烈な匂いを発します。それは、害虫がやってきてにんにくに噛みついた際、葉肉貯蔵内細胞内にあるアリインという成分の細胞が壊れ、アリイナーゼという酵素と反応してアリシンを生成するからです。
アリシンの強い匂いによって害虫が退散するため、にんにくの身を守る役割を担っています。
匂いが気になる時の対処法
にんにくを食べたくても、匂いが気になって避けている人も多いです。
それを回避するには、りんごを食べるとよいです。りんごに含まれる酸にアリシンを分解する働きがあるため、食後1~2時間の匂いを消すには効果的です。
しかし、アリシンは体内に吸収された後、血液に乗って肺へと運ばれるため、にんにくを食べてしばらく経ってから口臭がきつくなることがあります。
りんごの消臭効果は持続性がないため、食後すぐは効果があっても時間が経過すると再び匂ってしまいます。ただし、これも牛乳を飲むことで解消されやすいことがわかっています。
牛乳は食後すぐににんにくの匂いを消す即効性は低いものの、胃や腸に膜を張ることでアリシンの吸収率が下がり、匂いを抑えることができます。そのため、にんにくが食べたいけれど匂いが気になるという時は、食後にりんご(りんごジュースでもOK)と牛乳を摂るようにしましょう。
にんにくの効果
にんにくが食材として普及していった理由には、その美味しさだけではなく、にんにくを摂取することによって得られる様々な効果があったからと言われています。
にんにくの効果について詳しく紹介したいと思います。
疲労回復
にんにくの効果として最もよく挙げられるのが疲労回復です。
実際に疲れた時に、にんにく料理を食べて元気になった、という経験をしたことがある人も多いはず。
にんにくの疲労回復効果には、にんにくに含まれる「アリシン」と「スコルジニン」という成分が関係しています。
アリシンの働き
アリシンが体内に入ると、食事によって摂取されたビタミンB1(※)と結びつき、アリチアミンという成分に変化します。
ビタミンB1はそのままでは体内に吸収されにくいのですが、アリシンと結びついてアリチアミンに変わることで体内での吸収率や貯蔵量が高くなります。つまり、アリシンと結びつくからこそ、持続的にビタミンB1を利用することができるようになり、疲労回復効果が高まるというわけです。
※ビタミンB1は糖質を代謝する働きに優れた成分です。体内で不足すると糖がエネルギーとして消費されにくくなり、疲労が抜けないなどの症状が現れやすくなります。
スコルジニンの働き
スコルジニンは、にんにくの成分の一つですがアリシンとは違い無臭です。
にんにくの匂いには無関係な成分ですが、強い酸化還元作用を持っているため、細胞の酸化を防いで新陳代謝を活発にする働きがあり、アリシンと同様にエネルギーの生成を促して疲労回復効果が期待ができます。
また、スコルジニンには胃液の分泌を増加させて消化を促す働きもあるため、食欲増進にも繋がり、体に必要な栄養成分を補いやすくなります。
夏バテしそうな時にんにく料理を食べると食欲が沸いてくるのは、スコルジニンの効果と言うわけです。
生活習慣病の予防や改善
アリシンやスコルジニンには、血管を拡張させて、血液の流れを促す働きがあります。
これにより血圧を下げ、高血圧の予防・改善効果などが期待できます。
また、血栓を作りにくくする作用もあるため、動脈硬化の予防や改善にも効果があると言われています。
殺菌作用
アリシンには、強い殺菌作用があることがわかっています。そのため、昔からコレラ菌やチフス菌、サルモネラ菌などの駆除のために使用されていました。
免疫力の向上
にんにくの血流促進作用や、それに伴う体温の維持により、免疫細胞の働きが活発になるため、風邪やインフルエンザなどの感染症に罹りにくくなると言われています。
また、にんにくには殺菌作用もあるので、ウイルスや細菌の侵入を防いで健康を維持します。
ガン予防
アリシンは、アリインという成分が酵素と反応することで生成される成分ですが、アリシンがさらに変化した成分の一つにジアリルジスルフィドがあります。
ジアリルジスルフィドには抗ガン予防の効果があることがわかってきており、中でも大腸ガンを予防する効果が高いと言われています。
美肌効果
血行促進作用や新陳代謝を活発にする働きにより、皮膚の細胞の再生や修復が進み、肌の調子を整えたり、ターンオーバーを正常に保つ効果があると言われています。
また、細胞の酸化を防ぐため、アンチエイジング効果も期待できます。
冷えの改善
血流が促されることで、末端にも温かい血液が流れるようになり、冷えの改善にも繋がります。
効果的な摂り方
アリシンは加熱によって成分が変化してしまうため、その効果を十分に得るには生で食べるのがお勧めです。
薄くスライスしてもよいですが、すりおろすとより細胞が破壊され、吸収されやすくなって効果を得やすいです。
にんにくを使ったお勧め2品
豚肉×にんにく
ビタミンB1は豚肉に多く含まれているので、豚肉とにんにくを使った料理は美味しいだけではなく、疲労回復効果においてベストな組み合わせです。
焼いた豚肉にすりおろしたにんにくや醤油、砂糖などをソースにして絡めるだけで簡単に作れますが、にんにくは加熱しすぎるとアリシンの作用が薄くなってしまうので、にんにくは最後の方に足して使うのがよいです。
(ただし、油による調理ではアリシンがジアリルジスルフィドに変わり、ガン予防効果はアップすると言われています)
大豆×にんにく
畑の肉と言われている大豆にもビタミンB1が多く含まれているため、大豆とにんにくを組み合わせた料理も相乗効果が期待できます。納豆にすりおろした生のにんにくとごま油を少し入れると、お互いの風味が立ってご飯によく合います。
過剰摂取に注意
アリシンには血栓を作りにくくする溶血作用があります。
溶血作用は適度であれば効果的ですが、その効果が働きすぎると血液内のヘモグロビンを破壊してしまい、貧血を起こしやすくしてしまいます。
また、過剰摂取は胃への刺激が強くなり、下痢や腹痛の原因になります。
にんにくが体に良いからと言って、食べ過ぎないように注意しましょう。にんにくの一日の摂取量は、生なら一片、加熱したものは二片と言われています。
万が一、にんにくを食べ過ぎてお腹が痛くなった時は、アリシンは水に溶けやすい性質があるので水分を多めに摂ると痛みが和らぎやすいと言われています。
なお、加熱することでアリシンの作用が緩やかになり、匂いも軽減されますが、にんにく本来の効果は薄くなってしまいます。
にんにくの芽もお勧め
にんにくは鱗形と呼ばれる球根の部分を食べるものですが、球根があれば当然その上に茎が伸びます。
一般的に、にんにくの芽と呼ばれていますが、正確には花茎という部分に当たります。
このにんにくの芽(花茎)には、にんにくと同じ成分以外に、βカロテンやビタミンC、食物繊維が多く含まれており、にんにくと比べて匂いも穏やかという特徴があります。
アリシンを摂りたいけれどにんにくの匂いがどうしても苦手という場合は、にんにくの芽を食べてみるのがよいです。