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糖質は悪者?
ダイエット中、糖質の摂取を控えるという方は多いです。管理人こぶたも酵素ダイエットを始めてから一切の甘味を取れなくなりました。(血糖値の上昇や脂肪としての蓄積が怖くて・・・)
一般的な認識でも、糖質はカロリーが高く、血糖値を急激に上げやすいため、太りやすいというのがその理由です。
血糖値が急激に上がるとなぜ太るのか?それは膵臓からインスリンというホルモンが過剰に分泌されるためです。
インスリンは血糖値を下げる働きの他に、糖質を脂肪に変えて蓄積する作用があることから、糖質が多い食事によってインスリンがたくさん分泌されると、それだけ太りやすくなってしまうのです。
ここ数年、糖質制限ダイエットが人気となっており、またそのような世間の流れを受けて、外食チェーン店などでも糖質が少ないメニューを展開するなど、「糖質は悪者」と呼ばれて等しい状況が続いています。
しかし、果たしてそれは本当なのでしょうか。
糖質は三大栄養素の一つ
三大栄養素とは、人が生命活動をする上で欠かせない栄養素のことを言います。
一般的には、炭水化物・たんぱく質・脂質を指しますが、炭水化物は糖質+食物繊維の総称なので、糖質も三大栄養素にしっかりと含まれています。
糖質が不足するとどうなるの?
糖質は、脳や筋肉が働くためのエネルギーとして利用されるため、不足すると疲れやすくなったり、集中力が切れる、イライラするなどの症状が現れやすくなります。
制限しているわけではなくても、激しい運動後や、いつも以上に頭を使った時などイライラしたり、甘い物が欲しくなったりしますが、これも不足が原因だと感じます。
糖質の種類
糖質と一口に言っても、数多くの種類があります。
単糖
これ以上加水分解されず、糖質の中で最も小さい単位。
ぶどう糖や果糖などがあります。
二糖類
単糖が二つ結合したもの。
麦芽糖、ショ糖、乳糖などがあります。
多糖類
単糖が多数結合したもの。
3~10個結合したオリゴ糖、お米に多く含まれるでんぷんなどがあります。
糖アルコール
糖質に水素を添加したもの。
キシリトールなどの人工甘味料がこれに当たり、甘味度が高い、消化吸収されにくいという特徴があります。
日本では砂糖=上白糖
上白糖は、さとうきびやさとう大根(甜菜)を原料とし、転化糖(ショ糖を果糖及びブドウ糖に加水分解した甘味料)を加えて甘味のコクを与えたものを言います。
上白糖はその名の通り色が白いため、どのような料理に使っても素材の持つ色を消すことがありません。
また、上白糖に転化糖を加える前のものがグラニュー糖です。グラニュー糖は上白糖に比べてクセがなくあっさりとした甘さなので、お菓子作りや飲み物に甘味を足したい時によく使われます。
上白糖やグラニュー糖は栄養が少ない
上白糖やグラニュー糖は、製造過程において不純物と一緒にミネラルが取り除かれます。その工程により甘味は増すものの、代わりに栄養素はほとんど含まれていません。
近年、砂糖有害論や脱砂糖を唱える方が増えているのは、精製された上白糖やグラニュー糖は栄養がなく、カロリーが高い、血糖値を上げるなど、デメリットばかりがクローズアップされているからです。
しかし、前述した通り糖質は三大栄養素の一つで、不足すると心身に様々な弊害が生じます。何より、甘い物を食べると気持ちがほっこりとして、ストレスが解消されます。
食べ過ぎはいけませんが、適度に摂取することによって、辛いダイエットを乗り越えることができれば、むしろ健康的にダイエットを続けることができます。
つまり、やみくもに糖質を排除するのではなく、糖質の種類を知り、特性を生かして上手に活用することがとても大切だと言えます。
ダイエット時に摂りたい糖質
てんさい糖
てんさい糖は、さとう大根(甜菜)やビートを原料にして作られます。
これらの見た目はカブのようですが、実はほうれん草の一種で、根の部分を煮出して甘味成分を抽出しています。
上白糖やグラニュー糖もさとう大根を原料としますが、てんさい糖と大きく違うのが製造方法です。
上白糖やグラニュー糖は、精製(※1)によって糖蜜と粗糖に分け、さらに粗糖を遠心分離機にかけて糖質の純度を上げていきます。結果、100%に近いショ糖の純度を持つため、甘味がとても強くなりますが、栄養成分はほとんど含まれていません。
(※1)精製とは、砂糖の主成分となるショ糖の純度を高めるため、ショ糖以外の成分を極力取り除くことを言います。純度が高いほど甘味が増し、風味もないので料理の素材の味を邪魔することなく、甘味をプラスすることができます。
一方のてんさい糖は、ショ糖の割合は85%ほどで、ミネラルなどの成分が残されています。
そのため、色が茶色に近く、独特の風味があります。
ヨーロッパ、特にフランスでは「砂糖=てんさい糖」が一般常識となっており、キメ細かく、あっさりとした甘みを持つてんさい糖は、フランス菓子を作るには欠かせないものと言われています。
てんさい糖の主な効果
てんさい糖は日本では北海道が一大産地となっており、寒い地域で収穫できることから体を温める作用があると言われています。
また、オリゴ糖が含まれているため、腸内の善玉菌を増やし、お通じの改善効果などが期待できると言われています。
さらに、てんさい糖は糖質の中で、GI値が低い部類に入ります。
GI値は数字が高いほど血糖値を上げやすいとされ、グラニュー糖は110、上白糖は109、ハチミツは85ですが、てんさい糖は65です。
きび砂糖
きび砂糖は、さとうきびを原料にして作られます。
上白糖やグラニュー糖と精製方法が異なり、精製途中の砂糖液を煮詰めて作るため、カリウムやカルシウムが豊富に含まれており、色も真っ白ではなく淡い褐色をしています。
ちなみに、さとうきびの絞り汁を精製せずに煮詰めて作ると黒糖になりますが、黒糖は独特の風味があるため、料理やお菓子作りに使う時は不向きな場合もあります。その点、きび砂糖は苦味やアクが少ないながらも、コクのある甘味が特徴で、煮物などに使うと食欲をかきたてる照りがよく出ます。
上白糖やグラニュー糖と同じような使い方ができる上、ミネラルを摂ることができます。
希少糖
希少糖は、「自然界にその存在量が少ない単糖とその誘導体」と国際希少糖学会で定義されているものです。
存在量が少ないながら、自然界には50種類に及ぶ希少糖が確認されていますが、それでも総量は糖全体の1%にも満たないため、文字通り希少な糖と呼ばれています。
希少糖は、でんぷんを分解し、ブドウ糖と果糖にしたものをさらに異性化(※2)することで生成されます。
(※2)異性化とは、原子の組成はそのままに、原子の配列を変えることで別の分子に変化させることを言います。
実は希少糖にも種類があり、代表的な希少糖には次のものがあります。
プシコース(アルロース)
プシコースは、天然のでんぷんから作られますが、ズイナの葉にも含まれることから天然の糖でもあります。
砂糖の70%ほどの甘味で、キレのよい清涼感のある甘さが特徴となっていますが、特筆すべきなのはカロリーが0だということです。
上白糖やグラニュー糖とは異なり、ミネラルが多く含まれるてんさい糖やきび砂糖であっても、カロリーは上白糖やグラニュー糖と変わらず、380~390㎉ほどありますが、プシコースはノンカロリー。
また、プシコースは低GI値のため、血糖値の急上昇を抑える働きや、内臓脂肪が蓄積するのを防ぐ作用があることがわかっています。
このようなことから、メタボリックシンドロームの予防や改善ができる甘味料として、大変注目されています。
オリゴ糖
砂糖のカロリーは、おおよそ1gあたり4㎉なのに対し、オリゴ糖はその半分の1gあたり2㎉。そのため、同量を摂取しても、オリゴ糖の方がカロリーを抑えることができます。
また、オリゴ糖は人の消化酵素では消化できないため、腸まで届き、善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える働きがあります。
オリゴ糖については、別記事にて詳しく説明しているので参考にしてください。
三温糖や中双糖も栄養がある?
白よりも茶色の方が栄養が多く含まれるなら、三温糖や中双糖も、てんさい糖やきび砂糖のように栄養成分が多く含まれているのでは?と思ってしまいますが、これは大間違い。カテゴリーで分けると三温糖は上白糖と同じ、中双糖はグラニュー糖と同じになります。
三温糖と中双糖に色が付いているのは、精製されずに栄養成分が残っているのではなく、加熱を繰り返してカラメル化させ、さらにカラメル色素を添加しているからです。
そのため、三温糖や中双糖はダイエット中に摂る糖質には不向きです。
ダイエット中の糖分は目的を持って賢く選べる!
和食が体に良いと思い、煮物のレシピを検索したら、使う砂糖の量に驚きました。また、甘さ控えめのシフォンケーキや、和菓子を作るにしてもぎょっとするような量の砂糖を使用します。
だからといって、全く糖分を使用せず作っては、料理のコクも旨味も足りなくなってしまいます。こんな時に、てんさい糖や希少糖の存在を知っておけば、それぞれの特徴から自分の料理に合ったものを選ぶことができます。
ここにはないですが、砂糖の代わりに使用する糖分として「果糖」もおすすめです。また別の記事で紹介したいと思っています。