カプサイシン

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カプサイシン・カプシエイトとは

カプサイシン・カプシエイトは、共にトウガラシに含まれる成分です。

この2つは化学構造にわずかな違いがあるだけで作用機序はほとんど変わりませんが、決定的に異なるのがトウガラシ独特の辛味の有無。

一般的にトウガラシを含む料理は辛いというイメージがあると思いますが、これはカプサイシンの作用によるものです。一方のカプシエイトの辛味は、カプサイシンの1/1000程度と言われています。

カプサイシンの特徴や効果

トウガラシを含む料理を食べると、舌が痺れたり汗をかいたりしますが、これらはカプサイシンの働きによるものです。

カプサイシンは植物由来の天然成分で、窒素を含む塩基性有機化合物を示す“アルカロイド”の一種です。

アルカロイドには他に、ニコチンやモルヒネ、コカイン、カフェインなどがありますが、カプサイシンを含めたこれらは、草食動物や虫などに捕食されないよう、植物が自らの身を守るために毒性の強い成分を産み出したものと考えられています。

毒性と聞くと何やら体に悪い気がしますが、トウガラシは元々漢方薬として取り扱われており、蕃椒(ばんしょう)と呼ばれる生薬です。

日本では、寛永2年にからしや徳右衛門という人が現在の東京の両国橋で店を開き、七味トウガラシとして売り出したのが始まりと言われています。当時の両国橋には漢方薬を取り扱う問屋が多かったことから、漢方薬を食に利用して健康維持に役立たせることはできないかと考案されたのが七味トウガラシでした。

その後、七味トウガラシは江戸っ子が好んで食べていた蕎麦によく合ったため、爆発的に普及していったと言われていますが、本来は調味料ではなく薬として使われていたことからも、適量を摂る分にはむしろ体によいということが昔から知られていたと言えます。

カプサイシンの特徴

カプサイシンは脂溶性成分のため、油やアルコールなどに溶けやすいという特徴があります。また、気体になりにくいので、粉々に砕いたり加熱をしても、辛味が抜けることがありません。

辛味は味覚ではない

味覚とは、舌の表面にある味覚受容器(味蕾)によって感じるもので、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つが基本となり、辛味は味覚には含まれていません。

しかし、辛いものを食べると私達はそれを「辛い」と感じます。

これはカプサイシンを摂取すると、TRPV1(カプサイシン受容体)がそれを痛みや灼熱感として感じる仕組みがあるからです。つまり、辛味は味覚ではなく痛覚になるのです。

カプサイシンの効果

カプサイシンにはアドレナリンの分泌を促す働きがあります。

アドレナリンとは、腎臓の傍にある副腎髄質から分泌されるホルモンで、主に興奮している時に出ます。

動物は、捕食される側となった場合(もしくは捕食を行う側となった場合)、緊張や興奮から心身が極限状態となりますが、その際に「闘うのか逃げるのか」どちらの選択を行うにしても、全身の器官がその決定に即座に反応できるように準備を整えます。

この時分泌されるのがアドレナリンです。

これは人間も同じで、現代社会では人が他の動物の獲物となることがないため、直接的な命の危機に遭うことはありませんが、例えば人間関係などで強いストレスや不安を感じた時や、怒りで興奮状態となっている場合にもアドレナリンの分泌は活発になります。

また、スポーツをしている時も一種のストレス状態になるため、アドレナリンが大量に分泌されています。

アドレナリンの分泌が盛んになると、交感神経(自律神経の一つ。他に副交感神経があり、双方がバランスを取ることで体内の環境を整えています)の働きが活発になって、心拍数を上げ、血圧が上昇し瞳孔を開きます。

さらに、発汗や気管支の拡張が促されます。

辛いものを食べると汗をかいたり、咳こんだりしやすくなるのはこのためです。

また、カプサイシンの摂取によってアドレナリンの分泌が増えると、次のような効果が得られると言われています。

血行促進

アドレナリンの分泌によって心拍数が上がり、血管の収縮が活発になると血液の流れがよくなります。

血液の流れがよくなると、体の隅々にまで酸素や栄養が行き届くため細胞が活性化し、エネルギーの代謝がよくなります。

疲労回復

エネルギーの代謝が上がると、老廃物がどんどんと排出されるので疲労物質が体に残りにくくなり、疲労回復に繋がります。

疲れた時に辛いものを食べると元気になるのは、このような働きがあるからです。

脂肪燃焼を高める

アドレナリンが分泌されると、消化酵素のリパーゼが活性化します。

リパーゼには脂肪を分解する働きがあるため、脂肪が燃えやすい状態を作ります。

冷え症やむくみの改善

血液には酸素や栄養を運ぶ働きの他、温かい血液を全身に巡らせることで体を温める作用もあります。そのため、カプサイシンを摂って血液の流れを促すと、冷え症の改善に役立つと言われています。

また、老廃物の排出が促進されると余分な水分も出ていくため、むくみの改善にも繋がります。

痛みを抑える

アドレナリンには興奮作用があるため、例えば骨折などの重症を負っても、アドレナリンの分泌が活発な時は痛みを感じにくくなると言われています。

この働きを利用して、カプサイシンには神経痛を和らげる効果も期待できます。

便秘解消

カプサイシンが腸を刺激して、ぜん動運動を活発にするため、お通じがよくなると言われています。

この他にも、カプサイシンが含まれる辛い食べ物を好む方は、塩分や糖分が少なくても食事をおいしく食べることができるので、結果として生活習慣病の予防に役立つと言われています。

カプサイシンが多く含まれる食品

カプサイシンは、ナス科トウガラシ属に属する植物に多く含まれています。

ただし、トウガラシ属の一種であるピーマンやパプリカには、カプサイシンは含まれていません。カプサイシンの含有量は「スコビィル」と呼ばれる独自の単位で表されますが、ピーマンのスコビィル値は0です。

日本の代表的なトウガラシである“鷹の爪”は4~5万スコビィル、トウガラシの中でも辛味が強い品種として知られている“ハバネロ”は10~35万スコビィル、一時期は世界一辛いトウガラシとしてギネスブックにも載った“ブート・ジョロキア”は100万1304スコビィルです。

また、カプサイシンを多く含む食品としては、一般的にはカレー、麻婆豆腐、担々麺、香辛料、ラー油などが挙げられます。

カプサイシンの過剰摂取による弊害

カプサイシンは適量を摂取する分にはメリットがあるものの、過剰摂取は胃や腸、口、喉などの粘膜を荒らしたり、舌の感覚を麻痺させて味覚障害を起こす可能性があります。

カプサイシンは毎日摂取していると刺激に慣れてしまい、摂取量が増えやすくなると言われているため、常用的に摂取している方は摂り過ぎに十分気を付けましょう。

また、カプサイシンを摂り過ぎると、アドレナリンの分泌が多くなります。

アドレナリンの分泌が多いと交感神経の働きが活発になりすぎてしまい、やがて扁桃体や海馬などの大脳辺縁系を損傷させ、うつ病やパニック障害などの精神疾患を引き起こしやすくなると言われています。

なお、カプサイシンの耐性には個人差があります。

世界的に見て日本人の耐性は低いと言われていますので、摂取量にはくれぐれも注意が必要です。

カプシエイトの特徴や効果

カプシエイトは近年になって発見された成分で、新種の辛くないトウガラシ「CH‐19甘」から抽出された成分です。

カプシエイトの受容体はカプサイシンと同じTRPV1だと考えられており、作用機序も同じと見られていますが、実は現段階で詳しいメカニズムについては解明されていません。

カプシエイトはカプサイシンのような辛味がないことから、胃腸に優しく、辛味に弱い方でも摂取できる成分として注目を集めており、アメリカのクリニックでは肥満治療のためにカプシエイトを活用しているところもあるようですが、副作用についてはカプサイシンと同様の症状が起こる可能性があるため、辛味がないからと言って大量に摂取するのは止めましょう。

カプサイシンやカプシエイトはダイエットに役立つ?

カプサイシンやカプシエイトを、ダイエットのために摂取している人も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、カプサイシンやカプシエイトは、摂取によってダイエットに役立つ成分と言えます。ただし、「カプサイシンやカプシエイトを摂取するだけで痩せる」と言うのは間違いです。

発汗=脂肪燃焼ではない

汗をかくと脂肪が燃えてダイエットに繋がるイメージを持ちがちですが、汗をかいたからと言って必ずしも脂肪燃焼が起こっているわけではありません。

気温が高い日や、厚着をしたりお風呂に入った時などにかく汗は、上がった体温を下げるのための汗です。このような汗は大量に出ても、体から水分が出ているだけで脂肪燃焼は行われていません。

汗と脂肪燃焼が結びつくのは、運動による発汗のみです。

運動をすると体脂肪を燃やしてエネルギーを産生するため、汗をかくことと脂肪燃焼がイコールとなるのです。

また、カプサイシンやカプシエイトには、脂肪を分解するリパーゼの働きを活発にする作用がありますが、これもあくまでも脂肪の分解を促す助けになるだけです。脂肪は分解されただけでは勝手に燃えません。脂肪を燃やすには運動を使う必要があります。

カプサイシン(カプシエイト)ダイエットの正しいやり方

カプサイシンやカプシエイトをダイエットで有効活用するには、カプサイシンやカプシエイトを摂取するだけではなく、運動を組み合わせることが大切です。

カプサイシンやカプシエイトは摂取後2時間ほど体内で作用すると言われているので、そのタイミングで運動を行うことで、リパーゼの働きによって分解された脂肪が燃焼しやすくなります。

脂肪の燃焼を促すには、有酸素運動が最適です。

有酸素運動とは酸素を多く取り込む運動のことを指し、ジョギングやウォーキング、水泳、エアロビクスなどがあります。

また、より脂肪燃焼の効果を高めたい場合は、有酸素運動の前に筋トレを行うのが効果的です。

筋トレはカプサイシンやカプシエイトと同様に、脂肪の分解を促進するリパーゼの分泌を促す働きがあるので、カプサイシンやカプシエイトを摂取 → 筋トレを行う → 有酸素運動の順で行うと、脂肪燃焼効果がさらに高くなります。

サプリメントの利用がお勧め

カプサイシンダイエットを始めたいと思っても、辛いものが苦手であったり、カプシエイトが含まれるトウガラシは日本では販売されていないため、食事による摂取が難しい面もあります。

そのような時は、カプサイシンやカプシエイトが配合されたサプリメントを利用するのがお勧めです。

サプリメントを摂るベストタイミングは、運動の30分~1時間前と言われています。

なお、サプリメントは食品に比べて摂取しやすい反面、過剰摂取になりやすいため、摂取時には必ず取り扱い説明書を読み、用量を守るようにして下さい。

管理人こぶたも運動前にカプサイシンのサプリメントを利用していますが、摂取時はゆっくり(時速6Km程度)でジョギングしていても、内側から熱くなるのを感じます。運動を効果的にダイエットに繋げるためにもサプリメントの利用はお勧めです。

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