読み方・表示名 | BHA・ブチルヒドロキシアニソール |
---|---|
使用用途 | 酸化防止剤( 食品の油脂類の酸化を防止し、保存性を高める。 ) |
使われている主な食品 | にぼし・バター・油脂・魚介の冷凍食品・魚介の乾物など |
使われている主な製品 | |
毒性 | 発がん性 |
安全な量と危険な量
もともと、ガソリンの酸化防止剤として開発された合成化学物質です。自らが酸化することによって脂質の変化を防止するという添加物です。
使用量や使用可能な食品に制約があり、食品添加物に指定された当初は「油脂・バター・魚介類の加工品・チューインガム」など、幅広く使用されていましたが、ラットによる動物実験で発がん性が疑われたため、現在はほとんど使用されなくなってきています。
日本ではあまりBHAは使用されなくなりましたが、欧米では今でもよく使われています。
これには何か理由があるのでしょうか。
1954年 日本で食品添加物に指定されます。しかし、1981年 名古屋の研究グループによって発がん性が明らかになりました。ラットによる動物実験で前胃にガン化が見られたということでした。
当然厚生省はBHAの使用禁止を決め、研究内容をと信頼性を調べに来たのです。
当時、西欧諸国ではBHAは酸化防止剤として大量に使われていたため、日本の使用禁止措置で「BHAの安全性にケチがつく」と困るわけです。
そして、専門家たちは
- 研究レポートに問題なし
- ラットと人間は消化器官の構造が違うため、人間への影響はなし
- ガン化が見られたラットへの投与量は人間には常識的に摂取不可能
などの理由で、研究の信頼性を認めた上で、安全性に問題なしと判断しました。実際、この実験でラットに投与されたBHAは、現在のADI(一日摂取許容量)の1,300倍だったのですが…。
(※BHAの一日摂取許容量は1,0mg/kg)
この一件でわかることは、危険ではないかと言われるものを、「いや、大丈夫」と言うには何か根拠があると考えることができます。
A.本当に危険はない
B.それを危険だと判断されると困る人たちがいる
どちらが正解なのかは、わかりません。
さらに驚くことに、最近の研究ではBHAにがん抑制の効果も言われ始めました。
コーネル医療専門大学のダンバーグ教授は、「BHAとBHTは発ガン物質の多い環境において腫瘍になる前のガン細胞を叩く酵素を活性化させる」と発表しました。
一見、矛盾しているようにも感じる発表ですが、大量に摂取すれば「発ガン物質」に。適量を摂取すれば「がん抑制」に。
これは、どんな薬でも、まして、塩分でも、お酒でも、摂り過ぎれば「毒」になり、命を危険にさらします。しかし、必要な時もありますね。
どんな食べ物も、必要な時に適量を、と、いうことでしょうか。