アミノ酸とは

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疲労回復や運動時のサプリメントだけでなく、「アミノ酸ダイエット」でもメジャーになったアミノ酸。実際にどのような働きをするのか、理解しきれていない人も多いかと思います。

管理人こぶたが漠然と疑問に思っていたのが、アミノ酸とタンパク質の違い。そしてどちらを摂ったほうが良いのか?と言う疑問でした。

このページの冒頭は少々難しい話になります。またアミノ酸ダイエットについては、最後に記載してあります。参考になれば幸いです。

目次

アミノ酸とは

アミノ酸とは、アミノ基(−NH₂)とカルボキシ基(−COOH)を持つ有機化合物の総称です。

カルボキシ基に結合している炭素原子は順にα、β、γ、δとなっており、アミノ基がどの炭素原子と結びつくかによって、α-アミノ酸、β-アミノ酸のように変わりますが、一般的にアミノ酸と呼ばれているものはα-アミノ酸になります。

ちなみに、「基」とは原子の集まりを指し(原子団と言う)、化学反応が起きても変化せず、集団で別の化合物へと移動することができるという特徴を持っているものを言います。

アミノ酸の発見

アミノ酸は1806年にフランスの化学者が、アスパラガスの芽から結晶として取り出すことに成功し、これをアスパラギンと名付けたのが始まりです。

アミノ酸はタンパク質構成成分

タンパク質は臓器や筋肉、髪、皮膚、爪などを作る材料となるものですが、そのタンパク質を構成する最小単位がアミノ酸です。

また、タンパク質は体の様々な働きを調整するホルモンや、外部から侵入した細菌やウイルスを退治する抗体の材料にもなるため、生物が生きる上で欠かせない成分と言えます。

自然界には約500種類にも及ぶアミノ酸が存在していますが、そのうちタンパク質合成に関わるアミノ酸は20種類しかありません。

上に“一般的にアミノ酸と呼ばれているものはα-アミノ酸になる”と書きましたが、それはタンパク質合成に関わる20種類のアミノ酸=α-アミノ酸だからです。

アミノ酸が料理を美味しくする

日本人にとってダシは料理の味を決める重要な要素となっていますが、実はこのダシにもアミノ酸が関係しています。

アミノ酸の中にグルタミン酸という種類があるのですが、グルタミン酸は小麦に含まれるグルテンから発見されたのでその名がついたものです。

しかし、その後日本人によってグルタミン酸が昆布にも含まれることがわかり、それが旨味の元となるのだとわかりました。

アミノ酸の種類

アミノ酸の中でも、タンパク質の合成に使われるのは20種類です。

さらにその20種類から、必須アミノ酸(体内で合成することができないため、食物などから摂取する必要があるアミノ酸)と、非必須アミノ酸(体内で合成することができるアミノ酸)に分けることができます。

ここでは、それぞれの働きなどを簡潔にご紹介します。

必須アミノ酸

バリン

筋肉を作るタンパク質の主成分の一つで、後述しているロイシン、イソロイシンの3つをまとめてBCAA(分岐差アミノ酸)と呼んでいます。

人間の筋肉の35%はBCAAが占め、運動時の筋肉の分解を防ぐ働きがあります。

バリンは比較的多くの食物に含まれていますが、中でもマグロやカツオ、サバ、サンマなどの魚類、鶏肉(胸、もも)、牛肉に多く含まれています。

ロイシン

バリンと並びBCAAに含まれるアミノ酸です。

必須アミノ酸の中で、一日に必要な量が最大値のアミノ酸ですが、ロイシンもバリンと同様に幅広い食物に含まれているため、通常の食生活で不足することはないと言われています。

バリンを多く含む食物には、牛肉(赤身)やレバー、マグロ、カツオ、アジ、納豆、卵などがあります。

イソロイシン

イソロイシンもBCAAの一つで、筋肉を作るために欠かせないアミノ酸となっています。

また、エネルギー源となるグルコースを筋肉に貯蔵し、必要に応じて代謝させることで、疲労回復を促す働きがあります。

マグロやサケ、鶏肉、乳製品などに多く含まれています。

トリプトファン

トリプトファンは、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの合成に必要なアミノ酸です。

牛や豚、鶏などのレバーに多く含まれる他、牛乳やチーズ、バナナなどにも含まれています。

メチオニン

アレルギーを引き起こす原因であるヒスタミンの働きを抑える作用があることから、アレルギー症状の緩和や改善に効果があるアミノ酸です。

また、セロトニンやドーパミンなどの脳内物質の材料になります。

メチオニンは、マグロやカツオなどの魚類、牛や鶏などの肉類、牛乳やチーズと言った乳製品に含まれています。

リシン(リジン)

リジンはエネルギー源であるブドウ糖の代謝に関わるアミノ酸のため、不足すると疲れやすくなる、集中力が低下するなどの症状が起こることがありますが、マグロやカツオ、鶏むね肉、牛乳、チーズ、納豆、ピーナッツなどに多く含まれ、通常の食生活では不足することはありません。

ヒスチジン

ヒスチジンは、生物の成長に必要不可欠なアミノ酸です。

大人は体内での合成が可能なため非必須アミノ酸に分類されていましたが、子どもは体内で合成ができないことから、1985年以降は必須アミノ酸に分類されています。

ヒスチジンを多く含む食物には、カツオやサバ、サンマ、チーズなどがあります。

トレオニン(スレオニン)

生物の成長を促す働きがある他、肌のハリやキメを整える効果があるコラーゲンの材料となります。

鶏肉や魚類に含まれていますが、中でもゼラチン質に多く含まれているので、焼いて食べるよりも煮て汁ごと食べるのがよいと言われています。

フェニルアラニン

フェニルアラニンは、体内で脳内物質のドーパミンやノルアドレナリンに転換され、神経伝達物質として働きます。

パルメザンチーズや大豆製品、卵、鶏むね肉、豚ひれ肉などに多く含まれています。

非必須アミノ酸

アスパラギン

筋肉に貯蔵されるグリコーゲンを生成する働きがあることから、運動時において持久力を高めたり、疲労回復を促す効果が期待できます。

また、尿の合成を促進してアンモニアを体外へと排出し、中枢神経を保護する働きもあります。

大豆製品や肉類、牛乳などに多く含まれています。

アスパラギン酸

アスパラギン酸は、アスパラギンを加水分解することで得られるアミノ酸です。

アスパラギンと作用が似ていますが、その他に皮膚の新陳代謝を促し、角質層に水分を保つ働きがあることから、肌の調子を整える効果もあります。

大豆もやしやサトウキビ、ピーナッツ、そらまめ、マグロ、サンマ、かつおぶしなどに含まれています。

アラニン

肝臓の機能を高める働きがあり、アルコールの代謝を促進する効果が期待できます。

しじみやあさり、牛と豚のレバーなどに含まれています。

アルギニン

血管を拡張させて血液の流れを促し、アンモニアの代謝を高める働きがあります。

マグロやカツオ、エビ、鶏むね肉、ピーナッツ、ごま、大豆などに含まれています。

システイン

皮膚のメラニン色素の生成を抑える働きがあるアミノ酸です。

メラニンには黒色メラニンと黄色メラニンがありますが、システインは黒色メラニンを黄色メラニンに変えることで黒色メラニンを減らし、シミやくすみを防いでくれます。

システインは、食物にはシスチン(システインの分子が2つ結合した状態)で含まれており、カツオ、牛肉、豚肉、鶏肉、カシューナッツ、くるみなどに含まれています。

グルタミン

グルタミンは、体に最も多く含まれるアミノ酸です。

胃や腸の働きをサポートし、筋肉の分解を抑えて維持する効果があります。

小麦や大豆、海藻、サトウキビなどに含まれています。

グルタミン酸

アンモニアの排出を促す働きや、脳の神経伝達物質に取り込まれて、記憶力や集中力を高め得る効果があります。

海藻や納豆、アーモンド、トマトなどに含まれています。

グリシン

コラーゲンの1/3を構成するアミノ酸です。

そのため、肌のハリやツヤを促す働きがあり美肌効果が期待できます。

鶏皮や牛すじ、軟骨、イカ、タコ、大豆製品、カボチャの種などに含まれています。

プロリン

コラーゲンを構成する主成分のアミノ酸です。

美肌効果や、コラーゲンが多く含まれる軟骨の新陳代謝を促して、関節痛を改善する効果があります。

プロリンはゼラチンに多く含まれるため、ゼリーやマシュマロに含まれています。

セリン

セリンは、細胞の細胞膜の主な成分であるリン脂質を作るアミノ酸です。

また、肌の角質層に最も多く存在し、天然保湿成分に含まれて、潤いを保つ働きをしています。

牛乳や大豆製品に含まれています。

チロシン

チロシンは、ドーパミンやノルアドレナリンの材料となります。

ドーパミンやノルアドレナリンが不足すると、集中力が低下したりやる気がなくなるなど、うつ状態になりやすくなります。

また、チロシンはメラニン色素を作り、髪を黒く色づける働きもあります。白髪はメラニン色素が作られないことで発生します。

チロシンを多く含む食物には、大豆製品やピーナッツ、アーモンド、チーズなどの乳製品、たらこやすじこなどがあります。

※なお、非必須アミノ酸のうち、システインは必須アミノ酸のメチオニンから、チロシンは同じく必須アミノ酸のフェニルアラニンによって合成されるため、この2つについては準必須アミノ酸という見方もあります。また、アルギニンについても、成人であれば体内で必要量の合成が可能となっていますが、幼児期では量が不足しやすいことから、準必須アミノ酸に位置付けられています。

遊離アミノ酸

体内で働くアミノ酸には、必須アミノ酸、非必須アミノ酸の他に、タンパク質構成には関わらないものの、血液などに蓄積され単体で働くアミノ酸があります。それが遊離アミノ酸です。

遊離アミノ酸には、シトルリン、タウリン、オルニチンなどがあります。

シトルリンはスイカやきゅうりなどのウリ科の植物に多く含まれており、血行を促進してむくみを解消する効果があります。

タウリンはイカやタコに多く含まれ、肝臓の機能の向上させる効果があります。

オルニチンはしじみに含まれており、肝臓の機能を高めることで疲労回復や、二日酔いの解消に役立ちます。

アミノ酸、ペプチド、タンパク質の関係

以前まで、アミノ酸と言えば筋力アップを目指すアスリートやボディビルダーなどが意識して摂取するもの、というイメージがありましたが、近年はアミノ酸の様々な働きがわかってきたこともあり、人に限定されることなく、一般に広く利用されるようになってきました。

しかしそこで疑問に思う人が増えているのが、アミノ酸、ペプチド、タンパク質の違いです。

サプリメントなどには、アミノ酸表記だけではなく、ペプチド配合のような記載をしているものを見かけることがあります。

また、そもそもタンパク質はアミノ酸の集合体であるのに、どうして別々の商品として売られているのか、不思議に感じたことはないでしょうか。

その違いは「数」

ペプチドもタンパク質も、アミノ酸が結合してできる物質です。

違いは結合する数にあり、アミノ酸が2~50個結合したものをペプチド、50個以上結合したものをタンパク質と呼びます。

なお、アミノ酸が2個結合したものはジペプチド、3個ならトリペプチド、2~10個をオリゴペプチド、それ以上の結合から成るものをポリペプチドと言います。

タンパク質の場合、多くはアミノ酸が数千~数万の結合によってできていますが、50個以上のアミノ酸の結合をポリペプチドと呼ぶことから、タンパク質はポリペプチドの一種と言えます。

数の違いは吸収スピードに差が出る

ペプチドもタンパク質もアミノ酸から構成される物質ですが、結合する数が多ければ多いほど、それを分解する時間も長くかかることになることから、タンパク質はペプチドに比べて吸収までにより長い時間が必要ということになります。

この3つを体内での吸収スピードで比べると、早い順からアミノ酸、ペプチド、タンパク質となります。

アミノ酸の摂り方

アミノ酸は、特定の種類ばかりを摂ってしまうと、相対的に他のアミノ酸が少なくなってしまい、バランスが崩れてしまいます。どれか一つの種類を摂るのではなく、多くの種類を万遍なく摂ることが大切です。

例えば、日本人の主食であるお米には必須アミノ酸のフェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、ロイシンなどが多く含まれているものの、同じ必須アミノ酸のリシンが少ないことから、リシンを多く含む大豆製品(納豆や味噌など)や卵を一緒に食べることで、より多くのアミノ酸をバランスよく摂取することができ、それぞれのアミノ酸の効果を十分に発揮することができます。

食物に含まれる必須アミノ酸は、アミノ酸スコアによって配合のバランスが点数化されているので、そちらを参考に足りないものを補うようにメニューを組み立てるとよいです。

プロテインとの違い

プロテイン(protein)は英語でタンパク質という意味ですが、日本ではタンパク質を主成分としてビタミンやミネラルなどを加えたものを示すことが多いです。

そのため、本来の「アミノ酸の集合体」とは意味合いが異なります。

プロテインサプリメントを摂る際、アミノ酸以外の成分を摂取してしまうリスクがあるため商品選びには注意が大切です。

アミノ酸の過剰摂取について

アミノ酸は摂り過ぎてしまっても、腎臓や肝臓の働きによって余分なものは体外へ排出されます。

しかし、アミノ酸の濃度が高いサプリメントを継続して摂取すると、腎臓や肝臓がフル稼働となるため大きな負担となってしまいます。

また、グルタミン酸は化学調味料に添加されており(※)、気付かないうちに摂り過ぎている可能性もあることから、サプリメントなどで摂取する必要はないと言われています。※化学調味料に含まれるのはグルタミン酸ナトリウムです。グルタミン酸ナトリウムの過剰摂取は、手足のしびれや頭痛などの症状が起こると言われています。

食物に含まれる天然のアミノ酸であっても、過剰摂取は体調不良などの原因になります。

通常の食事の範囲内であれば過剰摂取に至る恐れはありませんが、持病のある人や妊娠中などの場合はアミノ酸の影響を受けやすいことから、偏った食生活は避け、サプリメントの摂取については必ず主治医に相談するようにして下さい。

アミノ酸ダイエットとは

体にとって不可欠なアミノ酸ですが、今から15年ほど前にダイエットによいとして人気になったことがありました。

その当時の謳い文句は「アミノ酸を摂るだけで痩せられる」と言ったものでしたが、今現在までアミノ酸自体に直接痩せる効果がある、ということは科学的に立証されていません。

そして、2~3年前には再び、アミノ酸ダイエットが健康情報系テレビ番組によって注目されたことがあります。

そこでは、タンパク質の材料となるアミノ酸を摂ることで筋肉量を減らさず、基礎代謝を下げずにダイエットを行うことができると説明されていました。それには次のような理由があります。

アミノ酸は筋肉の材料となる

ダイエットで食事制限を行うと、カロリーの高い脂質を除いた食事を摂るようになります。

脂質が多く含まれる食物には肉や魚がありますが、これらは脂質の他にタンパク質も多く含んでいるため、肉や魚を避けた食事をすると同時にタンパク質の摂取も控えた食事を行うことになります。

タンパク質は筋肉の材料になるので、不足すると筋肉が作られずに筋肉量が低下します。

筋肉には脂肪を燃やす働きはないものの、エネルギーの代謝を行うため、同じ性別、年齢、身長、体重の人を比べると、筋肉量の多い人の方が太りにくいことがわかっています。

つまり、ダイエットのために食事制限をしてタンパク質の摂取量が足りなくなると、筋肉を作る材料が減るため、筋肉が減ってエネルギーを使わなくなることから、返って太りやすい体になるというわけです。

脂肪分解酵素の活性化

アミノ酸の中でも、アルギニン、リシン、アラニン、プロリンの4種類は、脂肪の分解を促す酵素であるリパーゼの材料になることから、摂取によってその作用を高めることができます。

アミノ酸摂取の目的は筋肉の維持と脂肪の分解

このようなことから、アミノ酸を摂取することでダイエット時に陥りがちなタンパク質不足を防ぎ、脂肪の分解を促す酵素を増やして痩せやすい体を作ることができると言えます。

ただし、アミノ酸を摂ればそれだけでダイエットになるわけではありません。代謝のよい体を作るためには、タンパク質の摂取+筋トレが欠かせません。

なぜなら筋肉の増強は筋肉の破壊(=筋トレ)によって行われるからです。

また、リパーゼには脂肪を分解する働きはあっても燃焼はされないため、脂肪燃焼作用のある有酸素運動を取り入れることが大切になります。

サプリメントやドリンクの利用について

サプリメントやドリンクは、肉や魚に含まれる脂質を摂ることなく、効率よく欲しいアミノ酸だけを摂取することができます。

しかし、アミノ酸はそもそも必須アミノ酸9種類をバランスよく摂らないことには、体内で有益に働かないことがわかっています。そのため、アルギニンやプロリンを多く摂っても、他のアミノ酸の作用が弱まってしまえば意味がなくなってしまうのです。

また、ドリンクに関しては飲みやすくするために糖分が多く加えられているものもあり、ダイエットの観点から言うと糖分の摂り過ぎの方が問題と言えます。

さらに、タンパク質の多い肉や魚、卵を好んで食べる現代人は、食事からアミノ酸を摂り過ぎているとも言われています。

アミノ酸を取り入れてダイエットに活かすなら特定のアミノ酸を摂るのではなく、バランスを重視することが大切です。

-食事を栄養素から見直そう

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