目次
残留農薬について
前ページで紹介したように農薬には様々な種類があり、中には毒性の高いものや、化学変化を起こして代謝産物として違う農薬になる場合や、化学変化で毒性が高くなる場合があることがあります。
栽培中に使用された農薬は、農作物の表面に付着するだけではなく、農作物の内部にも浸透します。または葉や根から吸収され蓄積している可能性もあるため、農薬は洗っただけでは除去できません。
果実では果肉よりも果皮部に高濃度の農薬が残留しています。また、玄米では胚芽部に高濃度の農薬が検出されています。
使用された農薬が土壌や河川に残留して環境汚染の原因になるという大きな問題もあります。
輸入農作物の問題
輸入農産物の中には、日本で禁止となっている農薬、未登録農薬、ホストハーベスト農薬が検出されており、食糧自給率が低く輸入に頼る日本にとって大きな問題となっています。
日本では収穫後の作物にホストハーベスト農薬の使用を禁止していますが、外交問題の関係でアメリカからの柑橘類にはこれらが使われています。
詳しくは食品添加物のページで紹介しています。
>>【危険】発がん性が心配される添加物が食品に使われている
>>イマザリル
>>TBZ
また中国産野菜は、基準値をはるかに超える農薬が検出されることがあり、中国国内でも農薬による中毒患者が多数出ています。
遺伝子組み換え食品の問題
世界の人口増加による食糧危機を開示するために開発されたのが、遺伝子組み換え農作物です。遺伝子組み換え技術とは、ある生物の遺伝子を大腸菌などに組み込み増殖させて遺伝情報を発現させるという技術です。
遺伝子組み換え技術を応用することで、作りたい品種を短時間で作ることができ、また、除草剤耐性のある遺伝子や、害虫が食べると死んでしまう殺虫性のある遺伝子を組み込んで、除草剤や害虫に強い農作物を作ることが出来ます。
しかし、組み替えられた遺伝子と組み換えの過程で使われた材料が人や動植物に与える影響がよく分かっておらず、遺伝子組み換え作物によりミツバチが短命になり、益虫が死ぬという生態系への悪影響が出ています。
肥料が及ぼす影響
農作物の成長を促すためには窒素が必要です。そのため、ほとんどの肥料には窒素成分が含まれています。農作物は肥料から窒素を取り込むと、それを硝酸性窒素に変化させます。
硝酸性窒素は、元々人の体内に存在しているもので、普通に摂取している分には全く問題がありません。しかし過剰に摂取すると有害であるということがわかってきました。
一つ目は、硝酸性窒素が肉や魚から摂取したたんぱく質と結合して、「ニトロソアミン」という発がん性物質を発生させる可能性があると指摘されているということです。
二つ目は、硝酸性窒素の過剰摂取で、主に乳幼児に、メトヘモグロビン血症が発症する可能性があるということです。
硝酸性窒素は、現代の野菜には特に多くなっています。植物が育つための窒素が成長促進剤の役目を担っており、農作物に大量に使われている傾向にあります。
特に葉物野菜は、硝酸性窒素を蓄え込む性質があります。このように硝酸性窒素を過剰に蓄えている野菜ほど色が濃くなります。色の濃い野菜は、過剰に与えられた肥料によるものなのです。
日本では、硝酸性窒素の残留に関して、基準値が定められていません。そのため、欧米の残留基準濃度を大きく上回っている野菜が出回っています。
ここまでで農薬のお話は一旦終了・・・
次のページから肥料について説明していきます。
農薬だけでなく、肥料でも問題が起きそうだということが分かってきました。次のページでは、化学肥料ではなく、有機肥料を使用した「有機栽培」について説明しながら、肥料の問題にもまた触れます。
>>「有機栽培とは?」を読む。