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水素水とは
水素水とは、水素分子を含む水のことです。
今から数年前に「水素水が美容や健康によい」として、水素水関連商品が次々と販売されるなど空前のブームとなったことから、その名前を聞いたことがある人も多いでしょう。
実は「水素水」と一口に言っても、生成過程によって次の3つに分類されます。
- 水に高圧で水素ガスを入れたもの。
- 水にマグネシウムを入れ化学反応を起こして水素を発生させたもの。
- 水に電極を入れて電気分解することで水素を発生させたもの。
2の、水にマグネシウムを入れて化学反応を起こす作り方は、高濃度の水素水を作るのに時間がかかるので、あまり使われていない方法です。一般的に水素水生成器として売られているものは1と3が主流となっており、手軽に水素水を摂取できるパウチパックのものは1が多くなります。
そもそも水素とは
水素は、中学や高校の授業で習った記憶がある人も多いかと思いますが、「水平リーベ 僕の船 名前ある シップスクラーク」と、元素記号の周期表を語呂合わせで覚える時、最初に来るHが水素原子です。
水素は書いて字の如く“水の素”となる物質で、無色無味無臭で空気より軽く、宇宙で最も小さい元素であると同時に宇宙で最も多い元素です。
近年は、新しいクリーンエネルギーとして、ガソリンの代わりに自動車の動力や電池などへの活用が注目されていることから、耳にする機会が多くなってきました。
なお、水素は通常、原子Hの状態でなく、原子が2個結合したH₂(水素分子)として存在しています。例えば水の化学式はH₂Oと書きますが、これは水素分子H₂と酸素原子Oが結びついてできていることを表しています。
水素水が人気となった理由とその効果
水素水が一躍ブームとなった切っ掛けは、美容目的で水素水を愛飲している芸能人やモデルが多く、それをSNSなどで発信していたことです。
特に若い女性の場合は、憧れている人が摂取しているものを摂れば、自分も同じようになれるのでは?と、購買意欲を掻き立てられやすいです。
しかしそこだけに留まらず、水素水はその後、テレビや雑誌などでもこぞって健康によいものとして取り上げられるようになり、世間的に大きな関心を持たれるようになりました。
水素水の効果
水素水が健康や美容によいと言われた一番の理由は「抗酸化作用」。
抗酸化作用とは、活性酸素を除去する働きに優れているものを言い、ビタミンCやビタミンE、カロチノイド、ポリフェノールなど、抗酸化作用のあるものを抗酸化物質と言います。水素水はそれらと同様に、強い抗酸化作用があると謳われていました。
活性酸素とは
活性酸素は、呼吸によって摂り込んだ酸素を細胞内のミトコンドリアにて、エネルギー生成する際に生じる副産物のことを言います。
活性酸素には体内に侵入した細菌やウイルスを攻撃して増殖を防ぐという重要な役割がある一方、安易に他の物質と結びついて酸化させてしまうという特徴もあります。
酸化とは、物質が酸素と結合すること言い、鉄が酸素に触れて酸化鉄となり赤く錆びてしまう状態などを指します。
これと同じことが体内でも起こると、細胞が活性酸素によって酸化し、ダメージによって老化が進行します。
また、酸化によって傷ついた細胞は、本来の働きとは異なるDNAの情報を持った細胞へと変化してしまいます。そして、そのような細胞が増えることで、病気の発症原因になるとも言われています。
つまり、活性酸素は老化や病気の原因の一つであるため、活性酸素を除去する力を持つ水素水は美容や健康によいと言われるようになったのです。
なお、活性酸素には4種類があり、特に酸化力が強いと言われているのがスーパーオキシドとヒドロキシルラジカルの2種類です。
水素水は、酸化力の強いヒドロキシルラジカル(悪玉活性酸素)のみを除去する働きがあるため、他の抗酸化物質よりも抗酸化力が高いとして人気となりました。
水素水とアルカリイオン水
水素水がブームになる前には、アルカリイオン水ブームが世の中に起こりました。
アルカリイオン水とは、電気分解によってph(※)がアルカリ性に傾いた水のことを言い、胃腸症状を改善する作用があることが厚生労働省によって認められています。
一方で、アルカリイオン水は水素を含むため、言い方を変えれば水素水とも言えます。そのため、水素水がブームとなった時に、それまではアルカリイオン水として販売していたものを水素水と名前を変えて売り出す業者が多くいました。
そこで現在では、水を電気分解したものはアルカリイオン水、電気分解などで水に高濃度の水素が含まれているものは水素水と呼んで一般的に区別をしています。
このようなことから、水素水とアルカリイオン水は別物として考えられています。
※phとは、水の性質を調べる時に用いられるもので、水素イオン濃度の量によってphが0~6であれば酸性、phが7は中性、phが8~14はアルカリ性と区別されます。
ブームの終焉
女性を中心に、一時期は圧倒的な支持を受けた水素水ですが、そのブームは突如として終わります。それは、ウェブサイトで発信されたニュースが切っ掛けでした。
ニュースの内容は、水素水には健康効果が認められないというものでしたが、これに対し水素水の専門家を名乗る人や水素水を研究している学者などが反論したため、この時点では世間的には「どちらが正しいの?」と言った状況でした。
しかしその後、国民生活センターが「水素水として市販されているものの中には濃度が表示よりも低い場合がある」ことや、「悪玉活性酸素のみを除去する」などの謡い文句が法律に抵触する恐れがあると指摘したことで、その効果に疑いを持つ人が増えていきました。
水素水の効果には医学的なエビデンスがない
「エビデンス」は根拠や証拠という意味です。
水素水に関するデータは動物実験の場合がほとんどで、人に対しての研究結果が少ないため、謳われている効果が実際のところあるのかどうかはわからないと言うのが現時点です。
ただし、水素ガスについては、心停止後の後遺症を軽減する効果が認められ、医療現場にて使用されるなど、今後その他の医療用の活用が期待されています。
水素はペットボトルを通り抜ける
一部の業者が販売する水素水はペットボトルに入れて販売されていましたが、水素は分子が小さいため、ペットボトルに注入直後には表示量の水素が入っていても、輸送の段階でどんどんと抜けていき、手元に届いて飲む頃にはほとんど含まれていないということがあります。
このように、水素水を取り扱う側がそもそも水素水の持つ性質などを把握しておらず、単にブームに乗っかって売り出したケースが多かったことも、水素水に対して懐疑的になる人が増えていった原因と推測されています。
水素水は本当に効果がないのか
水素水は、長く飲んで体調にどのような変化があったかなどのデータがありません。
問題なのは、効果が立証されていない状態で効果を謳うことであって、活性酸素を除去する効果そのものは現時点ではあるともないとも言い切れないのです。
しかし、水素水に明確な活性酸素を除去する効果が認められないにしても、あらゆるすべての作用が全くないわけでもありません。
整水器国内トップシェアを誇る日本トリム社が販売する還元水素水生成器は、厚生労働省から胃腸症状を改善する効果があるとして、管理医療機器の認定を受けています。実際に胃もたれや胃の不快感、お通じを良好にすると言った作用については、一定の効果が認められています。
プラセボ効果に期待?
プラセボ効果とは、実際にはそのような効果がなくても、「お腹にいい」「調子がよくなる」と言われて摂取すると、体調が好転することを言います。実際、このプラセボ効果もホルモンや免疫機能に作用するなど全く意味のないものではありません。
「水素水は体によい」と思って飲むのも、自分が健康でいられるための方法の一つなのかもしれません。
とは言え、効果がわからないということは副作用についてもわからないということになり、飲み続けることによって生じるリスクもまた、今の時点ではわからないとしか言えないのが現状です。
今も臨床研究が続けられている
水素にはこれまで生理活性がないと捉えられていましたが、2007年に論文が発表されて以降、世界では多くの研究が行われています。
この先、10年20年と研究が続けられ、様々な科学的根拠が立証できるようになれば、改めて水素水が「美容や健康によい」と言われる日が来るかも知れません。それに伴い、正しい取扱方法、商品化となれば是非毎日の生活に取り入れてみたいものであるとは、管理人こぶたも思っています。