目次
たんぱく質の重要性
ダイエットと言うと、カロリーの摂取を抑えるのが一般的ですが、このようなダイエット方法は多くの場合、失敗に終わってしまいます。
なぜなら、カロリーを減らすために安易に食事制限をしてしまうことで、体に必要な栄養素が不足してしまうからです。
中でもたんぱく質は、ダイエットの時こそ意識して摂取したい重要な栄養素であるにも関わらず避けられがちになりやすい成分。
そこでまずは、そもそもたんぱく質が体内でどのような役割を担っているのかをひも解いてみましょう。
たんぱく質とは
たんぱく質は、炭水化物、脂質とともに三大栄養素の一つに数えられる重要な成分です。
たんぱく質は主にアミノ酸によって構成されていますが、約500種類に及ぶアミノ酸のうち、人に必要なアミノ酸は20種類と言われています。
その20種類のアミノ酸は、体内で合成することができる非必須アミノ酸(11種類)と、体内で合成ができないため食物などから摂取する必要がある必須アミノ酸(9種類)に分けられ、体内にて目的に合わせて結合し、たんぱく質を生成します。
たんぱく質の種類
たんぱく質には、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の2種類があります。
動物性たんぱく質は、肉類や魚、卵、乳製品などに含まれ、必須アミノ酸を多く含み、体内での吸収率が高いのが特徴ですが、コレステロールや脂質も多く含むため、摂り過ぎには注意をする必要があります。
一方の植物性たんぱく質は、大豆や米、小麦などに含まれるたんぱく質です。
動物性たんぱく質に比べて必須アミノ酸の数が少なく、体内の吸収率が低いという特徴がありますが、コレステロールや脂質の摂取が少なくヘルシーです。
どちらにもそれぞれメリット、デメリットがありますが、理想的な摂取量は動物性たんぱく質と植物性たんぱく質が1:1と言われています。
両方のたんぱく質を、バランスよく摂取することが大切です。
たんぱく質の働き
たんぱく質の大きな働きに、髪や皮膚、爪、内臓、筋肉、歯などを作る材料となることがあります。
「人の体は70%が水分でできている」とよく聞きますが、実は水分に次いで体内に多く存在するのがたんぱく質で、その割合は20%にも及びます。
また、臓器だけではなく、血液やリンパ液などの体液や、体の機能を保つためのホルモン、細菌やウイルスなどから体を守るための抗体もたんぱく質からできています。
毎日の食生活で、ビタミン不足やミネラル不足を認識することはあっても、たんぱく質不足を気にして食事の内容を考える人は少ないのではないかと思いますが、たんぱく質が不足すると体のあらゆる部分に問題が生じやすくなってしまうため、日ごろから意識して摂ることが大切な成分と言えます。
たんぱく質不足は美容の大敵
食事制限によるダイエットを行うと、髪にハリがなくなったり、肌荒れやニキビなどのトラブルが起こりやすいと感じたことはないでしょうか。
これは、たんぱく質不足がその原因の一部と言われています。
たんぱく質は、髪や皮膚の材料となるだけではなく、髪のコシや皮膚のハリを産み出すコラーゲンの原料にもなっているため、不足するとしわやたるみ、切れ毛などを引き起こしてしまいます。
たんぱく質不足がダイエットに与える影響
食事制限によるダイエットを行うと、体重が少しずつ減っていきます。この時、多くの方は脂肪が減っていると思っていますが、実はこれは間違いです。
食事制限によって必要なエネルギーが不足すると、体は脂肪だけではなく筋肉に蓄えられているグリコーゲンをエネルギーとして利用するため、脂肪と筋肉の両方が減っているのです。
しかも、筋肉は脂肪よりも重いため、体重の減りが大きいほど筋肉量もそれに比例して低下していると考えられます。
筋肉が減ると太りやすくなる
筋肉が減ると代謝が落ちて太りやすくなる、というのはもはやダイエッターにとっては常識です。
代謝とは簡単に言うとエネルギーを消費することを言いますが、代謝には「基礎代謝」「生活活動代謝」「食事誘発性熱産生」の3つがあります。
中でも一日の総消費エネルギーの7割を占めるのが基礎代謝です。
基礎代謝は、呼吸をする、体温を調節する、内臓を動かすなど、生命活動において消費されるエネルギーのことを言います。
基礎代謝が高い人はエネルギーの消費が多いため、痩せやすい体質であると言われています。
この他の生活活動代謝では2割、商事誘発性熱産生で1割のエネルギーが消費されると言われていますが、代謝が落ちるという言い方は一般的に基礎代謝を示していると言ってよいです。
そして、基礎代謝は筋肉量の多い人ほど高いと言われていることから、食事制限によって筋肉量が減ると基礎代謝が低下し、太りやすくなってしまうのです。
リバウンドの原因になる
ある調査では、極端な食事制限によるダイエット経験者の6割が、リバウンドによってダイエット前よりも太ってしまったと答えています。
このような食事制限によるダイエットでリバウンドしてしまうのは、「ホメオスタシス」という体の機能が関係しています。
ホメオスタシスとは、食事制限によって本来得られるべきエネルギーが少なくなると、与えられたエネルギーで体の働きを保とうとする働きです。
簡潔に言うと、体が省エネモードになることを言います。
ホメオスタシスになると、エネルギーの消費が落ちるため、体重が減らなくなる、いわゆる停滞期と呼ばれる状態になります。
ダイエットの最中、いくら食事を我慢しても痩せなくなるのでストレスが溜まってしまい、結果、心が折れて暴飲暴食に走りやすくなってしまいます。
またこのように、無理な食事制限→ストレスでドカ食い、を繰り返していると、食事制限で筋肉が減ったところに脂肪が増える悪循環に陥ってしまうため、さらに代謝が落ちてリバウンドしやすくなってしまう原因となります。
筋肉が少ないと痩せても綺麗じゃない
頑張って食事制限をしたにも関わらず、体重が落ちていざ鏡を見てみたら、思い描いていたような体型と違ってガッカリしたことはありませんか。例えば胸だけが小さくなる、などです。
これは、たんぱく質不足よる筋肉の低下が原因です。
筋肉には脂肪や皮膚を支える役目があるため、たんぱく質不足によって筋肉量が減ってしまうとその部分が弛んでしまい、引き締まって美しい体型には程遠くなってしまいます。
ダイエットでは高たんぱく質低カロリーを心掛けよう
ひと昔前までは、お肉はダイエットの大敵と言われていましたが、現在は適度にお肉を食べることはダイエットによいと言うことが認知され始めています。
しかし、だからと言って脂質の多い高カロリーのお肉ばかりを食べてしまうのは、当然ながらダイエットにはなりません。
ダイエットの基本は「摂取カロリー<消費カロリー」ですから、できるだけカロリーは抑えることは大事なのです。
ただし、やみくもにカロリーをカットすることだけを考えてしまうと、たんぱく質不足による弊害が生じてしまいます。
そこで今注目されているのが、「高たんぱく質低カロリー」の食品です。
これなら、たんぱく質不足にならない上、カロリーも抑えることができます。
ダイエットにお勧めの高たんぱく質低カロリーの食品には、次のようなものがあります。
- 鶏ささみ
- 鶏むね肉
- 豚ヒレ肉
- 牛ヒレ肉
- ラム肉
- 鮭
- サバ
- マグロ(赤身)
- カツオ
- タコ
- ツナ缶(水煮)
- 豆腐
- 卵
- ヨーグルト
たんぱく質の吸収を促す食べ方
ダイエットのためにたんぱく質を摂るなら、吸収率を少しでも上げたいです。
たんぱく質の吸収を上げるには、ビタミンCやビタミンB6を同時に摂るのがよいと言われています。
ビタミンCには、たんぱく質と結合してコラーゲンを生成する働きがあり、不足するとコラーゲンが作られず筋肉量が低下してしまいます。また、ビタミンB6には、たんぱく質を分解する働きがあります。
摂取したたんぱく質は体内にて一度アミノ酸に分解され、そこから必要に合わせてたんぱく質に再合成されるため、ビタミンB6が少ないとたんぱく質の分解が行われず、吸収率が下がってしまいます。
ここでは、ビタミンC、ビタミンB6を多く含む食物をご紹介するので参考にしてください。
ビタミンCを多く含む食物
- アセロラ
- ピーマン(特に赤ピーマン)
- 芽キャベツ
- キウイ
- 柿
- レモン
- パセリ
- いちご
- ブロッコリー
- みかん
ビタミンB6を多く含む食物
- 牛レバー
- まぐろ
- カツオ
- 鶏レバー
- 鮭
- さんま
- バナナ
- 牛乳
- 納豆
- にんにく
プロテインを利用するのもお勧め
プロテイン(protein)は、英語でたんぱく質のことを指します。
一般的にプロテインには、ハードな筋トレを行うアスリートやボディビルダーが愛用するもの、というイメージがありますが、近年急増している筋トレ女子も、ダイエットのためにプロテインを上手に利用しています。
たんぱく質を摂取する際、肉類や魚類ばかりの食事だと余分な脂質も摂ってしまうことになりますが、プロテインなら欲しい成分だけを厳選して摂ることができます。
また、筋トレの前や後など、食事のタイミング以外にたんぱく質を摂りたい時にも、気軽に摂取できるのがメリットと言えるでしょう。
プロテインの種類
たんぱく質を手軽に摂取することができるプロテインですが、いざ買おうと思ったら商品数もさることながら種類も色々あって、「一体どれを選べばいいの?」と悩んだことはないでしょうか。
そこでここでは、種類別にプロテインの特徴をご紹介したいと思います。
ホエイプロテイン
ホエイプロテインは、牛乳を原料にして作られるプロテインです。
ヨーグルトを買うと、上に液体が溜まっていることがないでしょうか。その液体部分がホエイ(乳清)です。
ホエイは、牛乳から脂肪やカゼインを取り除いたものを言い、約20%をたんぱく質が占めています。
ホエイに含まれるたんぱく質には、ラクトグロブリン、ラクトアルブミン、ラクトフェリンなどがあり、体内で吸収されやすいため、特にトレーニング直後の摂取に向いており、筋肉増強を目的としたアスリートが好んで摂取しています。
カゼインプロテイン
ホエイと同様に牛乳を原料にして作られるプロテインで、牛乳からホエイと脂肪を取り除いたものがカゼインです。
水溶性で水に溶けやすいホエイに対し、カゼインは不溶性のため水に溶けにくく、固まりやすい特徴があります。
そのため、体内での吸収に時間が掛かるので、ダイエット時のたんぱく質補給に利用することで、満腹感が持続し無駄な間食や食べ過ぎを防ぐことができます。
ソイプロテイン
Soy(大豆)という意味通り、大豆を原料としたプロテインです。
カゼインプロテインと同じく、吸収までに時間がかかるので腹持ちがよいのがメリットです。
また、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きを持つ大豆イソフラボンが豊富に含まれているため、美容目的で摂取している人も多くいます。
たんぱく質の摂取だけではなく筋トレも大事
たんぱく質を摂ってさえいれば、後は勝手に筋肉が増えて痩せ体質になるわけではありません。
たんぱく質の摂取は、あくまでも筋肉量を減らさないのが目的です。
基礎代謝を上げるために筋肉量を増やしたい場合には、たんぱく質の摂取+筋トレを行うことが必要です。
過剰摂取に注意
たんぱく質は、適度に摂る分にはダイエットに役立ちますが、だからと言って過剰に摂取してしまうと、消化にエネルギーが掛かるため胃や腸、腎臓などの内臓に負担を掛けてしまいます。
また、たんぱく質自体に1gあたり4㎉ほどのカロリーがあるため、食べ過ぎはカロリーの摂り過ぎとなってしまうので注意しましょう。
成人女性が一日あたりに必要なたんぱく質は、50gと言われています。
なお、たんぱく質は体内に蓄えておくことができず、必要な分以外は排泄されてしまうため、食事の都度適量を摂るのが最もよい摂取方法と言えます。